意志力・自制心の正体とは?〜マシュマロ・テストから学ぶ、人生で成功するコツ〜

自分を制する力、セルフコントール力というのは人生をうまく生き抜く上で最重要ともなってくる大切な能力ですよね。
しかし、

  • やると決めたのに継続できなかった
  • ダイエットすると決めたのに、甘いもへの誘惑に勝てなかった

こんなとき、「自分はなんて意志力(自制心)が弱いんだろう…」と思ってしましませんか?
私も、よくそんなことを思ってしまいます。

しかし、ふと気になったのです。

そもそも『意志力』ってなんだ?

と。

継続できない・誘惑に勝てないのは、自分を制する「心の強さ」のようなものが私に欠けているからなのでしょうか。
もしそうだとして、それは生まれ持った才能のようなものなのか?それとも、今からでも鍛えることができるのか…?

様々な疑問が湧いてきました。

そこで今回は、『マシュマロ・テスト』という有名な実験を元に、『意志力』(自制心)とはどういうものかを考察していこうと思います。

くまやま

なんとなく意志力が弱いと嘆くだけでは、何も改善しないよね。

今回の話は、「ぼくたちは習慣で、できている。」という本で考察されている内容に深く共感し、それを元にさらに深掘り・整理したものになっています。

目次

そもそも意志力は本当に必要なのか

まず初めに、確認しておきたいことがあります。

私たちが『意志力』と呼んでいるものは、本当に人生に必要な能力なのか?

ということです。必要のないものをあれこれ考察しても虚しいだけですので一応確認しておきましょう。

ねこた

これはさすがに考えるまでもない気もするが…

くまやま

まぁまぁ。一応ね。笑

結論から言うと、やはり、必要なものだったようです。笑

なぜそう結論付けることができたのかというと、
意志力が人生に大きく影響を与えることが証明された、ある有名な実験があるからです。

マシュマロ・テスト

かわいくてほっこりする名前の実験ですが、これは、子どもたちの自制力を調べるためにが目の前にあるマシュマロをどれだけ食べず我慢できるかを調べるという、少々子どもたちにとっては酷な実験です。

日本では「マシュマロ実験」とも呼ばれています。

マシュマロ・テストについてのTEDスピーチの動画がありますので、是非見てみてください。
(日本語の字幕も右下のアイコンから設定できます!)

Don’t eat the marshmallow! | TED2009

実験内容

スタンフォード大学の心理学者、ウォルター・ミシェル氏が1960年代~1970年代にかけて行った実験で、4~9才の子どもたちを対象に行われました。(何才かはその時の実験によって異なる)。

実験の流れは以下のようなものでした。

  1. 机と椅子だけの質素な部屋に子どもたちを招き入れます。(この机にはマシュマロが一個だけのっています。)
  2. 学者は「このマシュマロはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分間食べるのを我慢してたら、もう1つマシュマロをあげるよ。」と言って部屋を出ていく。
  3. 子どもたちがどうするか、どれだけ待てるかを観察する。
ねこた

ふむふむ、シンプルな実験だ。

実際には、マシュマロだけでなく、その子が好きなクッキーなどのお菓子が使われていたりもします。

実験結果

マシュマロを食べずに待てた子どもは、わずか3割でした。
残りの子どもたちは、皆途中でマシュマロを食べてしまったのです。

学者が部屋を出たらすぐに食べてしまう子もいれば、14分半というギリギリで食べてしまった子もいます。
待てた時間の平均は、約6分でした。

くまやま

さて、この実験の面白いのはここからだよ。

マシュマロ・テスト後の追跡調査

マシュマロを我慢できた子たち、できなかった子たちのその後の人生がどうなっているか、追跡調査したのです。(各国の各実験によって20歳前後までを調べたり、30歳前後まで調べたりと、どこまで追跡するかは様々)

これにより、衝撃の事実が判明します。

マシュマロを我慢できた子どもたちは、ほぼ100%、人生がうまくいっていたのです。
成績がよく、先生や友達とも良好な関係を保ち、年収も高い職につき、太りにくく、健康状態も良かった。

対して、マシュマロを我慢できずに食べてしまった多くの子供たちは、成績が悪かったり、進学できなかったり、途中でドロップアウトしたり…。

また、マシュマロを我慢できた秒数が長いほど、SAT(日本のセンター試験のようなもの)の点数が高くなるということも分かっています。

つまり、幼少期の自制心の強さが人生を大きく左右させることが判明したのです。

もちろん、「何が幸福か」は人それぞれですので、あくまで一般論としての結論づけになります。

ねこた

幼少期ですでに人生が決まってしまいるというのかい?

くまやま

そう、問題はそこなんだよね。

意志力は幼少期に決まってしまうのか?
大人になってしまった私たちはもう、変えることができないのか?

という疑問が、当然ながら湧き上がってくるでしょう。

先に結論から先に述べておきますと、そんな事はありません!
マシュマロを食べてしまった子どもたちの中には、ちゃんと成績も伸びている子もいたのです。

どうやら、後から意志力を身につけることもできるようなのです。希望が見えて来ますよね。

「意志力を身につけることができる」というのが本当かどうか、もう少し考察していきましょう。

マシュマロを我慢できるかどうかは、認知や環境で変わる

実はマシュマロ・テストは、他にも様々なパターンで行われています。
それらの実験によると、

  • これは雲だと考えるように言うと、約2倍待てるようになった。
  • マシュマロが偽物だと考えるように言うと、約3倍待てるようになった。
  • 楽しいことを考えながら待つように言わると、約3倍待てるようになった。
  • トレイでマシュマロを隠すと、約10倍も待てるようになった。

ということが分かっています。

シュマロに対する「認知」やその場の「環境」を変化させることによって、自分を制する力が上がったのです。

認知を変えるとは、マシュマロへの意識の仕方を変える、ということです。

心理学などにおける「認知」とは、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のことをいう。意識と同義に用いられることもある

認知 – Wikipedia

しかしなぜ、認知を変えたり、環境を変えると意志力が上がった(マシュマロを我慢できた)のでしょう。

これは、「マシュマロ食べたい!」という誘惑される時間が単純に減っただけということではないか?という仮説を立ててみると、うまく説明ができそうです。

意志力が強い人はそもそも誘惑されてない

さきほどの仮説、「意志力が上がった = 誘惑される時間が減っただけ」という説を裏付けることのできる面白い実験がありますので、紹介しておきます。

1日に人はどれくらい欲望に誘惑されているか調べる実験

200人以上を対象に、ドイツで行われた面白い実験があります。

  1. ポケベルを身に着けてもらう
  2. 1日に7回、ポケベルがランダムに鳴る
  3. ポケベルが鳴った時に(もしくはその直前)、どういう欲望を感じていたかを報告してもらう。

この実験で分かったことは、「寝たいなぁ」「テレビ見たいなぁ」「アイス食べたいなぁ」などなど、人は1日に平均4時間程度は誘惑と戦っているということでした。

そして面白いことに、「意志力が高い」と思われていた人ほど、何かに誘惑されている時間が少なかったのです。

マシュマロ・テストを思い返せば

マシュマロを食べてしまった子どもたちは、ずっとマシュマロを見ていたのです。
口元まで持っていってはお皿に戻したり、匂いを嗅いで見るだけにしたり、何度も何度も自分と戦っているうちに、いずれ負けてしまうのです。

一方、マシュマロを食べずに我慢できた子どもたちは、歌をうたったり、よそ見をしたり、手遊びをしたり、そもそもマシュマロからの誘惑に目そむけることができていたのです。

同じ部屋、同じ環境の中でも、誘惑と戦っている時間が全然違ったのです。

意志力は身につけることのできる「スキル」だ

さて、ここまでわかったことを整理すると

  • 意志力が強い = 単純に誘惑される時間が少ない
  • ちょっとした工夫で誘惑される時間は減らせる

ということが分かりました。

そして、誘惑される時間を減らす能力というのは生まれ持った才能で決まるものではありません。

なぜなら、マシュマロ・テストで子どもたちは、大人たちにアドバイスされただけでマシュマロを別のものだと思い込んだり、別の楽しいことを考えて気を紛らわすことができましたよね。

つまり『意志力』( = 誘惑する時間を減らす能力)とは、『学ぶことのできるスキル』だということ。

くまやま

ただのテクニックでしかなかったんだ。

もちろん、スキルを習得する速さというものは人によって多少センスの違いが関係してきます。
マシュマロを我慢できた子たちは、このセンスが人よりも高い子達だったのでしょう。

ですが、それだけのことです。何も気にすることではないのです。
スキルも、センスも、後から磨くことができるのが私たち人間なのですから。

まとめ

意志力(自制心)とは何か。意志力は後から身につけることができるのか?について考察してみました。

まとめておくと、

  • 意志力が高ければ人生が成功しやすいことはマシュマロ・テストで証明されていた
  • 意志力とは、単純に誘惑される時間を減らすテクニックだった。
  • つまりそれは、後から学び、身につけることができるものである。

というのが今回の内容でした。

ねこた

非常に興味深かったよ。

くまやま

ここまで見てくれてありがとう!

意志力を鍛えるには

具体的、かつ簡単なトレーニングを一つ紹介しておきます。
それは、瞑想です。

なぜ瞑想がいいのかと言うと、自分の状態を冷静に見つめることで、今どのような欲望にさらされているか気づけるようになるからです。

誘惑から目を逸らすには、まずはそれに気づかなくてはなりませんよね。「やってしまった!」では遅いのです。

マインドフルネス瞑想というのが一番オススメなのですが、まずは誰にでもできる簡単なものからチャレンジしてみるといいでしょう。

参考文献

マシュマロ・テストについてもっと詳しく知りたい人は以下の本がオススメです。詳しくまとめられています。

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また、今回の話は以下の本で書かれていたことが元になっています。習慣とは何か、意志力とはなにか、意識とは何か、について非常にうまく説明してくださっています。

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実践的な習慣化テクニックが50個も紹介されているので、自分の今の意志力に自信がない人には、すごくオススメです。

最後に、とあるマシュマロ・テストの様子がYoutubeにもアップされていたので、ご紹介しておきます。

くまやま

がんばって我慢しようとしている様子がなんとも微笑ましいね。

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